1000038909「国際興業って、バス会社じゃないの?」
売上2324億円の巨大グループ、いったい何で稼いでいるのかを深掘りしてみた

「国際興業」と聞いて、まず何を思い浮かべるでしょうか?

おそらく多くの人は、

「国際興業バス」

ではないでしょうか。

東京・埼玉を走る路線バス。
高速バス。
観光バス。

バス好きなら、青と白を基調とした国際興業バスの車体を思い浮かべる人も多いでしょう。

ところが――。

実は国際興業は、単純な「バス会社」ではありません。

2025年3月期の国際興業グループの年間売上高は、なんと2,324億円。

しかもグループ全体では約8,000人、約160事業所、41社を擁しています。公式資料では事業を「運輸・交通」「観光・レジャー」「流通・商事」「開発・不動産」の4分野に分類しています。

では、この2,324億円は一体どこから生まれているのでしょうか?

■そもそも「国際興業バス」はグループの一部

まず重要なのがここです。

私たちが普段「国際興業」と呼んでいるものと、国際興業グループ全体は別物です。

国際興業本体はもちろん路線バスを運営しています。

東京都の板橋区、北区、練馬区などから埼玉県の川口市、さいたま市などに広がる路線網を持ち、公式サイトによれば約450系統、1日約28万人が利用しています。

しかし、グループ全体を見ると、バスだけでは到底説明できません。

むしろ、

「バスを中心に、交通・旅行・ホテル・物流・商社・自動車販売・不動産などへ巨大化した企業グループ」

と考えたほうが実態に近いでしょう。

■① 最大の顔はやっぱり「運輸・交通」

まずは誰もが知っている交通事業。

国際興業本体では、

・路線バス
・高速バス
・空港連絡バス
・観光バス
・ハイヤー
・自動車教習所

などを展開しています。

特に路線バスは国際興業の「主力事業」。

東京・埼玉という巨大な人口集積地域で、毎日大量の乗客を運んでいます。

一方、グループまで広げると話はさらに大きくなります。

大阪・兵庫では「国際興業大阪」がタクシーや観光バスを展開。

北海道では札樽自動車運輸が貨物輸送を行い、青森では丸運十和田運送が長距離トラック、JRコンテナ輸送、引越輸送などを手掛けています。

つまり、

人を運ぶバス会社+人を運ぶタクシー+荷物を運ぶ物流会社

という構造なのです。

■② 実は「トラック・バス販売」までやっている

ここがバスファンには特に面白いところ。

北海道にはグループ企業の北海道いすゞ自動車があります。

これは、いすゞの正規ディーラー。

トラック・バスの新車販売だけではなく、中古車販売や整備なども行っています。

つまり国際興業グループは、

「バスを走らせる」だけではなく、「バスやトラックを売る側」

にもいるわけです。

さらに自社グループには大量のバス・トラックがあります。

2025年8月時点のグループ資料では、事業用車両は合計2,253台。

内訳を見ると、

乗合バス……859台
貸切バス……81台
ハイヤー・タクシー……506台
トラック……772台
教習車……35台

となっています。

「国際興業=バス」というイメージからすると、トラック772台という数字にも驚かされます。

■③ さらに「ホテル会社」でもある

ここからが一気にスケールアップします。

国際興業グループには、ホテル・リゾート事業があります。

しかも単なるビジネスホテルではありません。

代表格が、

富士屋ホテル

です。

箱根を代表する老舗ホテルとして知られる富士屋ホテルをはじめ、湯本富士屋ホテル、箱根ホテルなどを展開しています。

さらに、

・ホテル青森
・ホテル鹿角
・花巻温泉
・山梨フルーツリゾート

など、全国各地の宿泊・観光施設がグループに入っています。

つまり国際興業は、

「東京でバスに乗る」→「地方へ旅行する」→「ホテルに泊まる」

という一連の観光需要まで取り込める企業グループなのです。

■④ 海外にもホテルを持っている

そして、さらに驚くのが海外。

国際興業グループはハワイにもホテル事業を展開しています。

グループ資料には、

・ロイヤル・ハワイアン
・モアナ サーフライダー
・シェラトン・ワイキキ
・シェラトン・プリンセス・カイウラニ

などが掲載されています。

2025年8月時点のグループ概要では、宿泊施設は国内13施設、海外6施設。

客室数は国内1,362室、海外5,159室。

つまり海外だけで5,000室以上の客室を持っているのです。

「国際興業バスしか知らない」という人が知ったら、

「えっ、ハワイのホテルまで?」

となるのも無理はありません。

■⑤ ゴルフ場まで持っている

ホテルだけではありません。

ゴルフ場もあります。

国際興業は国内4コース・90ホールのゴルフコースを運営しています。

代表的なのが、

・みちのく国際ゴルフ倶楽部
・紫カントリークラブすみれコース
・紫カントリークラブあやめコース
・富士屋ホテル仙石コース

など。

つまり、

交通 → 旅行 → ホテル → ゴルフ

という観光・レジャー産業までつながっているのです。

■⑥ 「商社」までやっている

さらに意外なのが商事事業。

国際興業は、バスやホテルに関連する商品の販売だけではありません。

公式サイトによると、

・ホテル向けアメニティ
・業務用消臭剤「清水香」
・中古バス
・バス部品
・バスロケーションシステム
・ゴルフカート
・油圧機器などの産業機械

といった商品・サービスを扱っています。

特に産業機械部門は1959年に油圧機器販売を中心にスタートした歴史があります。

つまり、

「バス会社なのに、産業機械商社でもある」

というわけです。

■⑦ 北海道では「輸入車販売」まで

まだあります。

北海道では、

BMW

や

ポルシェ

の販売にも関わっています。

国際興業グループの公式資料にも外車部門が掲載されており、現在も北海道で自動車販売事業を展開しています。

バス好きの人からすると、

「国際興業バス」

↓

「いすゞのトラック・バス販売」

↓

「BMW」

↓

「ポルシェ」

と、かなり意外な方向へ話が広がります。

■⑧ 不動産も重要な収益源

そして企業グループとして非常に重要なのが、

不動産。

国際興業は不動産の売買、賃貸、管理、宅地開発などを行っています。

これは交通事業とは全く違うように見えますが、実は非常に相性がいい。

交通会社は営業所、車庫、土地、建物など大量の不動産を保有・利用します。

さらにグループとして不動産賃貸などを手掛けることで、

「人を運ぶことで稼ぐ」

だけでなく、

「土地や建物を活用して稼ぐ」

というビジネスモデルを構築できます。

■⑨ そして旅行会社まで持っている

国際興業には旅行事業もあります。

海外赴任、査証取得、海外視察などの業務渡航をサポートするほか、グループのホテルや交通サービスを活用した旅行商品の企画なども行っています。

これも非常に面白いところ。

例えば、

バス会社+ホテル+旅行会社

が同じグループにあれば、

「どこへ行くか」
「どうやって行くか」
「どこに泊まるか」

をグループ内で組み合わせることができます。

■では、2,324億円の内訳は?

ここは注意が必要です。

国際興業グループが公開している資料では、2025年3月期のグループ年間売上高2,324億円という数字は確認できますが、今回確認できた公式資料では、この2,324億円を「バス○億円、ホテル○億円、不動産○億円……」という形で詳細に分解した数字までは掲載されていません。

したがって、

「バスが売上の○%」

などと断定するのは危険です。

ただし、事業構造を見るだけでも、

国際興業=バス会社

という認識が、いかに狭いかは分かります。

■実は「交通を核にした総合サービス企業」

国際興業の歴史を見ると、この多角化には一貫性があります。

1940年に自動車部品事業から始まり、その後ホテル、乗合・観光バス、タクシー・ハイヤー、自動車販売、商事、旅行、不動産、ゴルフ場などへ事業を拡大してきました。

つまり最初から「バスだけの会社」だったわけではありません。

むしろ、

自動車を扱う会社
↓
人を運ぶ
↓
旅行・観光へ進出
↓
ホテルを持つ
↓
不動産を持つ
↓
商社・自動車販売・物流へ広がる

という形で、巨大な企業グループになっていったわけです。

■「国際興業バス」は巨大グループの“入口”だった

国際興業の面白さはここです。

私たちが街中で見るのは、基本的にバス。

しかし、そのバスを降りた先には、

🏨 ホテル
♨️ 温泉
⛳ ゴルフ場
✈️ 旅行
🚕 タクシー
🚚 物流
🚛 トラック・バス販売
🚗 BMW・ポルシェ
🏢 不動産
⚙️ 産業機械
🧴 ホテル用品
🌞 再生可能エネルギー

まで広がっています。

公式資料を見ると、現在のグループは41社・約8,000人・約160事業所。

年間輸送人員は約1億1,000万人に達しています。

これは、もはや単なる「バス会社」という言葉では表現しきれません。

■なぜ、ここまで多角化したのか?

最大のポイントは、

「交通だけに収益を依存しない」

ということではないでしょうか。

路線バスは地域社会に不可欠なインフラである一方、人口動態や燃料費、人件費、車両更新費など、さまざまな経営課題を抱えます。

そこで、

交通
+
物流
+
ホテル
+
旅行
+
不動産
+
商社
+
自動車販売
+
レジャー

という複数の事業を持つ。

これによってグループ全体として収益源を分散できます。

しかも、単なる寄せ集めではありません。

「移動」「観光」「宿泊」「土地」「自動車」

という、それぞれがつながる分野を押さえているのが特徴です。

■結論。「国際興業ってバス会社じゃないの?」

答えは、

「バス会社でもあります。でも、それだけではありません」

です。

むしろ正確に言えば、

「バスを含む運輸・交通を大きな柱としながら、ホテル・観光・物流・商社・自動車販売・不動産などを国内外で展開する総合企業グループ」

と表現するのが近いでしょう。

2025年3月期のグループ年間売上高は2,324億円。

約8,000人が働き、41社、約160事業所を展開。

バスだけを見ていると分からない巨大な企業グループの姿が、そこにはあります。

街中で国際興業バスを見かけたとき、

「この会社、バスだけじゃないんだよな……」

と思ってしまうと、国際興業という企業が少し違って見えてくるかもしれません。

バス会社から始まった巨大企業グループ。

それが、私たちの知っている「国際興業」のもう一つの顔なのです。

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