
「デリカD:5」や「デリカミニ」は人気なのに、なぜ「デリカD:4」は存在しないのか?──セレナOEM? 次期エクスパンダー? “欠番”の謎を徹底深掘り
三菱を代表する車名といえば、やはり「デリカ」。
現在は大型ミニバンの「デリカD:5」、軽スーパーハイトワゴンの「デリカミニ」、そしてコンパクトミニバンの「デリカD:2」と、サイズの異なるモデルが展開されています。
さらに過去には「デリカD:3」も存在しました。
ところが、ここで一つの疑問が浮かびます。
「デリカD:2がある。D:3もあった。D:5もある。それなのに、なぜD:4だけ存在しないのか?」
自動車好きなら一度は気になったことがあるのではないでしょうか。
実は、この「D:4欠番」には、単純な数字の問題だけではなく、三菱のミニバン戦略や日産との関係、そして東南アジアで大ヒットしている「エクスパンダー」まで絡んでいます。
今回は「もしデリカD:4が誕生するとしたら?」という未来予想も含めて、徹底的に考えてみます。
■そもそも「D:5」の“5”には意味がある
まず重要なのが、「デリカD:5」という名前です。
「D:5」は単なるグレード名や数字ではありません。
三菱の公式説明によれば、「デリカ」は「デリバリー・カー」に由来する名前。
そして「D:5」は、5代目デリカであることを意味すると同時に、ミニバンのラージサイズカテゴリーも示しています。
歴代デリカを簡単に振り返ると、
- 初代デリカ:1968年
- 2代目デリカ:1979年
- 3代目デリカスターワゴン:1986年
- 4代目デリカスペースギア:1994年
- 5代目デリカD:5:2007年
という流れです。
つまり、
D:5=「5代目デリカ」
という意味が基本にあります。
したがって、
「D:4がないのは、4という数字を避けたから」
というより、
そもそも“4代目のデリカ”はデリカスペースギアだった
というのが大きなポイントなのです。
■実は「D:4」が抜けているわけではない?
ここが「D:4欠番」の最大のポイントです。
現在のD:5という名称を単純に、
D:1
D:2
D:3
D:4
D:5
という商品ラインアップの番号だと考えると、「D:4がない!」となります。
しかし、実際の歴史はそうではありません。
4代目デリカは、
「デリカスペースギア」
でした。
三菱自身も、D:5を「5代目デリカ」と説明しています。
つまり「D:4」という名前のモデルが欠番になったというより、
歴代デリカの4代目を、後からD:4と呼んでいない
と考える方が正確です。
これは非常に重要な違いです。
■では、なぜ現在の「D:2」「D:3」は存在するのか?
ここから話が少し複雑になります。
現在のデリカシリーズは、歴代デリカの世代番号だけで構成されているわけではありません。
例えば「デリカD:2」。
これはスズキ「ソリオ」をベースとしたOEM車です。
そして過去には「デリカD:3」も存在しました。
こちらは日産「NV200バネット」をベースとしたモデルでした。
つまり、
D:2やD:3は“歴代デリカの2代目・3代目”という意味ではありません。
現在のデリカシリーズでは、数字が「車格・カテゴリー」を表すような使われ方もしているわけです。
三菱のアクセサリーラインアップを見ても、現在は「デリカD:5」「デリカD:2」「デリカミニ」が別カテゴリーとして整理されています。
このため、
「D:2があるならD:4も作ればいいじゃないか」
という疑問が生まれるわけです。
■「デリカD:4」に一番近いサイズは何?
では仮に三菱が「デリカD:4」を作るとしたら、どんな車になるのでしょうか?
最も分かりやすいのは、
日産セレナクラスのミドルサイズミニバン
でしょう。
現在のD:5は大型ミニバン。
D:2はソリオクラス。
その間を埋めるモデルが存在すれば、
D:2 → D:4 → D:5
という非常に分かりやすい商品構成になります。
例えば、
デリカミニ
軽
↓
デリカD:2
コンパクト
↓
デリカD:4
ミドルサイズ
↓
デリカD:5
ラージサイズ
というラインアップです。
消費者からすれば非常に分かりやすい。
では、なぜ三菱はこれをやらないのでしょうか?
■最大の壁は「日産セレナ」
ここで登場するのが日産「セレナ」です。
三菱と日産はアライアンス関係にあり、三菱は日産から車両供給を受けることがあります。
実際、デリカD:3は日産NV200バネットをベースにしていました。
そのため、
「じゃあセレナを三菱向けにしてデリカD:4にすればいいじゃないか」
という発想は当然出てきます。
しかし、これは簡単ではありません。
セレナは日産にとって非常に重要な主力車種。
わざわざ三菱向けに「デリカD:4」としてOEM供給するメリットがどこまであるのか、という問題があります。
また、三菱がセレナとは違う「デリカらしさ」を出そうとすれば、単なるOEMでは済みません。
4WD性能、最低地上高、SUV的デザイン、悪路走破性などを強化すれば、開発コストも増えていきます。
そうなると、
「そこまでしてD:4を作る必要があるのか?」
という経営判断になってしまいます。
■デリカは「ただのミニバン」ではない
ここが非常に重要です。
三菱公式の歴史紹介でも、デリカは単なる多人数乗用車としてではなく、パジェロなどの4WD技術をミニバンに融合してきたモデルとして説明されています。
特にD:5は、
「SUVとミニバンの融合」
という独自のポジションを確立しました。
そのため、
「セレナに三菱のエンブレムを付けました」
だけでは、デリカファンからすると物足りません。
デリカD:5が人気なのも、
- 高い悪路走破性
- 4WD性能
- SUV的なスタイル
- 大人数を乗せられる
- アウトドアに強い
- ミニバンなのに“道具感”がある
という独自性があるからです。
三菱がD:4を作るなら、当然そこにも「デリカらしさ」が求められるでしょう。
■そこで急浮上するのが「エクスパンダー」
実は、D:4候補として非常に面白い存在があります。
それが、
三菱エクスパンダー
です。
エクスパンダーは東南アジアを中心に展開されているMPV。
全長約4.6m、全幅約1.75m級というサイズで、D:5よりコンパクト。
しかもミニバンでありながらSUV的な雰囲気を持っています。
まさに、
「小型版デリカD:5」
とも言いたくなるようなキャラクターです。
そして現在の三菱にとってエクスパンダーは非常に重要な世界戦略車。
2026年に発表された三菱の中長期ビジョンでは、2030年代に向けてASEAN商品群などを中心とした新型車投入が示され、次期エクスパンダーの存在も注目されています。
■もし「次期エクスパンダー」が日本に来たら?
ここからは完全に未来予想です。
もし次期エクスパンダーが日本市場へ正式導入されることになれば、
「デリカD:4」
という名前を与える可能性は、十分に想像できます。
例えば、
次期デリカD:4
・全長4.6~4.7m級
・3列シート
・6~7人乗り
・SUV風デザイン
・ハイブリッド
・4WD設定
・アウトドア対応
・D:5よりコンパクト
・D:2より明確に大きい
というモデルです。
これなら商品としてかなり魅力的です。
特に現在のD:5は、
「大きすぎる」
というユーザーもいます。
一方でデリカミニやD:2では、
「家族で使うには小さい」
という人もいる。
そこにD:4が入れば、
“ちょうどいいデリカ”
として成立する可能性があります。
■「D:4」があれば、かなり面白いラインアップになる
例えば、
デリカミニ
↓
軽・4人乗り
デリカD:2
↓
コンパクト・5人乗り
デリカD:4
↓
ミドル・7人乗り
デリカD:5
↓
大型・7~8人乗り
という構成。
これは非常に分かりやすい。
特に「D:5は好きだけど、大きすぎる」というユーザーを取り込めます。
現在のデリカD:5は、2007年の登場から長期間にわたって販売されているロングセラーです。
一方でデリカミニも、デリカブランドを軽自動車市場へ広げることに成功しました。
つまり、
「デリカというブランドそのものが強くなっている」
わけです。
三菱としても、デリカブランドを一車種だけに依存するより、複数カテゴリーへ展開するメリットは大きいでしょう。
■それでも「D:4」が簡単には登場しない理由
しかし、現実的に考えるとハードルもあります。
最大の問題は、
D:5との食い合い
です。
例えばD:4が非常に魅力的な4WDミニバンになれば、
「D:5までは必要ない」
というユーザーがD:4へ流れる可能性があります。
つまりD:4が売れれば売れるほど、
D:5の販売を奪ってしまう可能性
があるわけです。
逆にD:4をD:5より明確に安くすると、
「D:5よりD:4でいいじゃん」
となる。
かといって高くすれば、
「そこまで払うならD:5を買う」
となる。
この価格・サイズ・性能のポジショニングが非常に難しいのです。
■そしてもう一つ、「三菱の販売規模」という問題
トヨタのように非常に大きな販売規模を持つメーカーなら、
「このカテゴリーにも一車種」
というフルラインアップ戦略を取りやすいでしょう。
しかし三菱は、すべてのカテゴリーを自社開発で埋める必要はありません。
むしろ、
売れるカテゴリーに集中する
という戦略の方が合理的です。
実際、三菱はデリカD:2のようにOEMを活用しながら商品ラインアップを構築してきました。
だからこそ、
「D:4を新開発するために莫大な投資をする」
よりも、
「ASEANで強いエクスパンダーを進化させ、必要なら日本に導入する」
という方が現実味があります。
■「4は縁起が悪いから」という説は本当なのか?
D:4について語られると、必ず出てくるのが、
「日本では4が“死”を連想させるからでは?」
という説です。
確かに日本では「4」を避ける文化があります。
病院の病室番号などでも「4」を避けるケースがあります。
しかし、自動車の商品名で考えると、
「4だから絶対に使わない」
というほど単純ではありません。
実際、自動車業界には「4」を含む車名・型式・シリーズ名が多数存在します。
したがって、
「デリカD:4がない最大の理由=4が不吉だから」
と断定するのは無理があります。
むしろ、
「歴代デリカの4代目がすでにスペースギアだったこと」
と、
「現在の三菱にD:4に相当する国内商品が存在しないこと」
の方が重要でしょう。
■もしD:4が誕生するなら、私は「セレナOEM」より「次期エクスパンダー」に期待したい
個人的に一番面白いと思うのは、
セレナOEMのデリカD:4ではなく、次期エクスパンダーをベースにした新型デリカD:4
です。
なぜなら、その方が「デリカらしさ」を作りやすいからです。
セレナをベースにすれば、どうしても、
「セレナの兄弟車」
という印象が付きまといます。
しかしエクスパンダーを進化させれば、
ASEANで培った三菱独自の商品
として展開できます。
そこに、
- 三菱らしい4WD
- デリカD:5風のフロントマスク
- 高めの最低地上高
- アウトドア向け内装
- 最新ハイブリッド
- 最新安全装備
などを組み合わせれば、かなり面白い車になります。
■例えば、こんな「デリカD:4」なら欲しくなる?
想像してみてください。
全長4,650mm前後。
D:5より一回り小さい。
しかし、普通のミニバンより最低地上高は高め。
フロントは最新デリカD:5を思わせる縦型LEDライト。
ボディはスクエア。
3列シート。
4WDあり。
ハイブリッドあり。
そしてアウトドア用品を積みやすい広い荷室。
価格は300万円台前半から。
これなら、
「D:5はちょっと大きい。でも普通のミニバンでは物足りない」
という人に刺さるのではないでしょうか。
特に日本では、
「D:5ほど大きくなくていい。でもSUV的なミニバンが欲しい」
という需要があります。
そこはD:4にとって大きなチャンスです。
■では、近い将来「D:4」は登場するのか?
現時点では、三菱が「デリカD:4」の発売を正式発表しているわけではありません。
したがって、ここは明確に区別しておく必要があります。
「D:4が発売される!」
という話ではありません。
ただし、
次期エクスパンダー+デリカブランド
という組み合わせを考えると、将来的な「D:4」という商品名を想像する余地は十分あります。
一方で、三菱の今後の新商品計画を見る限り、まずはD:5の次期型やSUV系モデルなどが重要になってくると考えられます。
■「欠番」だからこそ、想像が膨らむデリカD:4
結局のところ、
なぜデリカD:4がないのか?
その答えは、
「4が不吉だから」
という単純な話ではありません。
むしろ、
歴代デリカの4代目がデリカスペースギアだったこと。
そして現在のデリカシリーズにおいて、
D:4に相当する日本向けミドルサイズ車が存在していないこと。
さらに、
セレナOEMでは商品性・ブランド性・採算性の問題があること。
これらが複合していると考えるのが自然でしょう。
そして現在、最も面白い“D:4候補”として浮上するのが、
三菱エクスパンダー、そしてその次期型
です。
もし三菱が本当に「デリカD:4」を作るなら、単なるセレナOEMではなく、
「D:5のDNAを受け継いだ、少し小さな本格派デリカ」
として登場してほしいところ。
デリカミニが軽市場を開拓し、D:2がコンパクト市場を担当し、D:5が大型ミニバンを担当する。
その間を埋める、
「デリカD:4」
が誕生したら――。
三菱のデリカシリーズは、いよいよ“ブランド”として完成形に近づくのかもしれません。
そして何より、自動車ファンとしては、
「D:4」という空白の数字が、いつか本当に埋まるのか?
ここに注目したいところです。
※本記事中の「将来のデリカD:4」「次期エクスパンダーをD:4として日本導入する可能性」などは、現時点での公式発表ではなく、既存情報をもとにした筆者の考察・予想です。




